「あのな、万葉」
「なにさ」
「丈夫で、働きもんで、みっともない男を、わし、選んだよ」
「さっきも聞いたよ」
「わしは黒菱造船の跡取り娘だが。いくらでも相手を選べるよ。だからわし、いちばん強そうなのを選んだよ。顔では、選ばんかった。」
「ああ」
「わし、だんなさんを大事にするよ」
(赤朽葉家の伝説/桜庭一樹)
このセリフは、小説「赤朽葉家の伝説」の主人公の友人、みどりのセリフです。
みどりは大きな造船会社の跡取り娘で、幼い頃から豪奢な暮らしをしていました。
田舎者ながらも、その当時のあらゆる贅沢を受けて成長した女性。
そんなみどりから出たセリフは、お嬢様のものと思えないほどがっしりと地に足がついたものでした。
自分の好き嫌いではなく、あるべき行動をとっていること。
自分の決意に納得していること。
主体性の塊のようなこのセリフが、私は大好きです。


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